ぱいたんイズム

とあるゲームプランナーが思いつくまま書くブログ

【社畜】久々にゲーム業界の闇を堪能しているので、繁忙期の『弊社あるある』早く言いたい

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どーもどーも、お久しぶりです!
仕事に忙殺され続け、気づけばかなり久々の更新になった社畜ブロガー・ぱいたん(@paitanblog)です。



改めて見ると『忙殺』っていう言葉、すげー物騒ですよね。

くしたうえにされてしまってるわけですから。
もう心身ともに踏んだり蹴ったりです。


しばらく更新できてない自覚はありましたが、まさか1ヶ月以上も空いていたとは思いませんでした。アチャー。

なんと、そんな僕のことを心配してくれた(と勝手に思っている)、優しいはてなさんからメッセージも届きました。

その心遣い、社畜のハートに染み渡ります。

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ありがてぇ・・・(ホロリ

ゲーム業界の激務、やっぱりキツい

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僕はゲーム開発会社に勤めていて、ゲームプランナーというお仕事をしています。

世間一般のイメージ通り、ゲーム業界の労働環境はそれほど褒められたものではありません。


弊社も例に漏れず、日夜おもしろいゲームを作るために血と汗と涙ばっかり垂れ流し続けています。
いろいろと垂れ流しすぎて、そろそろ干物かミイラにでもなってしまいそう。


とくに僕が所属しているプロジェクトは、ゲームの完成を意味する『マスターアップ』という大イベントを約1ヶ月後に控えているので、ここ最近の繁忙期ぶりがハンパない。



面白いゲームを作りたい!」という一心で開発に取り組んできましたが、やはりオーバーワークで心身ともにコンディションを崩すことも少なくありません。

IT系やクリエイティブな職業にこういった激務はつきものですが、もちろん疲労困憊の状況は仕事にも悪影響を与えます。

集中力や生産性が落ちるだけでなく、無意識のうちに『クオリティ』よりも『ラクに作れるかどうか』を優先して作業を進めてしまうことも・・・。



まぁ、クリエイターも人間ですからね。
やはりしんどい思いは遠慮願いたいものです。

願わくば、もっと楽してもっと稼ぎたい。



でも、ゲームを作ること自体は楽しいです。
本当に楽しい。


ゲーム開発は最初から最後までしんどいことばかりですが、僕は『ゲームクリエイター』という職業を最高にクールな存在だと思っています。

幼少期から夢見ていた憧れの職業に就いている、その喜びとありがたみがモチベーションです。


・・・いや、超キレイゴトですけどね。
わりとマジなんですってば。


『弊社あるある』早く言いたい


さて、そんな僕がいま担当しているプロジェクトも佳境に差し掛かり、ゲームの完成を来月に控えているという状態なので、ただでさえよろしくない労働環境がさらにヒートアップしています。


ダークでポップな弊社あるある、早く言いたい。

①連日連夜、常態化した長時間残業!

\あるあるー!/


社畜界ではベタ中のベタですけど、やっぱりまずはコレですね。


僕はふだんから比較的早めに帰宅するよう意識していますが、多くのメンバーは当然のように日付をまたぐ勢いで残業しています。

基本、みんな目が死んでいます。 怖い。



僕がゲーム業界に入って初めてのプロジェクトでは月に100時間を超える残業も経験しましたし、何週間か休みがおあずけになったこともありました。


当時は初のゲーム開発ということもあってランナーズハイならぬクリエイターズハイ状態で乗り切れましたが、言わずもがなメンバー全員が心身ともにズタズタのボロボロ。
日に日に想像力と生産性は落ちていき、さながらキーボードを叩き続けるだけのゾンビと成り果てました。


その結果、ゲームも納得のいく完成度に至ることなく納期を迎えてしまい、結局は発売日を延期して対応することに。

僕たちキーボードゾンビの頑張りが報われないという、最悪の結末を迎えたのです。



その経験から僕は過度な残業は何も生まないと悟り、今後、決して二度と同じ悲劇は繰り返すまいと固く決意したのです。


なので、僕は必然性を感じない残業が大っっっっ嫌いです。
いやもうほんとマジで。
悪いことは言わないから、みんな早く帰ろ?


そもそも残業は「ここぞ」という重要な局面で悩んだ末に切るカードであって、毎日のように残業してるのは単純にスケジュールが破綻しているだけですからね。

そんな疲弊しか生まないだけの残業は、この世から『社畜』という言葉ごと消え去ればよいのです( ^ω^ )

世にはびこる過度な残業よ、即刻滅びなさい


②もろくも崩れ去る、完全週休二日制!

\あるあるー!/


先日、あまりにも開発が切羽詰まりすぎて、ついに上司からこんな公式声明が出ました。

振替休日を取っていいので、マスターアップの納期までは土日も使ってクオリティを上げてほしい。
マスターアップしたら休んでいいから。


やーーーだよ!!!!


いやいや、マスター予定日は1ヶ月も先ですぜ?

1ヶ月休みなしですかい?



ていうか、そもそも「振替休日を取っていいので」ってなんだよ。

ふつうは休日出勤したら振り替えて休むんじゃそんなもん!( ゚д゚)

僕は休日しっかり休むために、平日そこそこ頑張りますよ


③日々、雪だるま式に膨れ上がる作業量!

\あるあるー!/


ウチの上司は基本的にクライアントからの要望を

ハイよろこんでー!

という居酒屋バイトのノリで承諾します。



上司いわく、

仕事のチャンスは何でも喜んで引き受けるものだ。
できるかどうかじゃなくて、何とかしてみる気持ちが大事。

という仕事の哲学があるらしく、とにかく仕事の依頼がくると片っ端から喜んでしまいます
やみくもに喜びすぎです。


そうして喜びまくった結果、あとでクライアントに謝るハメになることがほとんどですが、

頑張ります!(できるとは言ってない)

と答えてしまっている手前、逃げ道は絶たれており、なんとかしないとクライアントに顔が立たなくなってしまうのです。


そこで、僕たちにも尻拭いの火の粉が降りかかります。

みなさん作業が厳しいのはわかってますが、なんとかしなくちゃダメなので、残業とか休日出勤とかしてください。


やーーーだよ!!!!



百歩・・・いや、5000兆歩ほど譲って『最初から残業前提のスケジュール』だったとしても理解不能なほどの作業量が課せられているので、

めいっぱい残業して終わればラッキー。
終わらなければ先方に謝って、翌週までに実装して許してもらおう。

ぐらいの考えでスケジュールを切っているのではないかと疑っています。

というか、ウチの上司はその前例があるので、ほぼ確信に近いです。


開発初期には読みきれなかったのだとしても、いまや誰の目にも明らかなほどスケジュールと人員に見合っていない作業量。

人手不足を解消するためにプロジェクトメンバーが急激に増えていき、いまや社内の約8割の人員を投入しているにも関わらず、その全員がオーバーワークでヒィヒィ言っている状態。

明らかに弊社のキャパ越えてんじゃねーか


④毎週末に待ち受ける、中間提出の納期!

\あるあるー!/


ゲーム開発の現場では、開発の区切りで経過報告としてクライアントに納品することが一般的です。

この納品スパンは開発の規模にもよりますが、僕が経験したプロジェクトではおよそ2〜4ヶ月ごとに行われていました。

つまり、通常はこの2〜4ヶ月のスパンで「納期間近の忙しさ」がやってくるわけです。



しかし、マスターアップ間近になればクライアントもより細かな経過報告を欲しがり、不満があればガシガシ要望を出してきます。


そのため、マスター間近になれば毎週末の納品を要求されるようになり、「納期間近の忙しさ」が毎週襲ってくるようになります。

もちろん開発は途中だし、クライアントから毎週のように要望が来るし、デバッグ会社さんからはバグ報告が山のように来ます。
(※バグ報告をたくさん出してくれるデバッグ会社さんは非常に優秀です。念のため。)



毎週その全てに対応するのは物理的に無理なので、いくつか対応を翌週に持ち越していくうち、どんどん手付かずのタスクが山積みになっていきます。

これがもう、超キツい。



そして、この「毎週末に納品する」が「クライアントが翌週月曜に確認できるよう納品する」とほぼ同義になっているのが非常に厄介です。

そう、日曜の夜に納品してもギリギリセーフになってしまうのです。


もちろん、社畜精神が旺盛な上司にかかれば

じゃあ土日も使って作業すれば週7日使えるな。
さぁ、みんな休日出勤がんばろう。

となるわけです。


やーーーだよ!!!!

何が弊社を狂わせたのか?

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こうした環境でゴリゴリと精神力を削られ、生気を失いながらも仕事をする弊社のメンバー(僕を含む)の姿は、さながら生ける屍-リビングデッド-


新卒で入社した会社を巣立ち、今の会社に移ってから約3年ほど、弊社の内情を見てきました。

そんな僕は、弊社を狂わせるいくつかの要因に心当たりがあるのです。

(※いまさらですが『弊社は狂っている』という前提で話を進めます)

若手とベテランの2極化

弊社は、他の会社を知らない『新卒組』と創業時からの『ベテラン組』が大半を占め、僕のように『中途入社組』のメンバーは少なめです。


新卒組は比較対象(他社)を知らないので社内体制の改善イメージがつきづらく、ベテラン組はこのまま惰性で定年まで根を張ろうとしている(=変化を望んでいない)のです。


中途入社組の僕は、前の会社と比較して感じたことを新卒組のメンバーと話したりするのですが、やはり他社の環境がどうかという話よりも、弊社の環境をベースとして「仕事ってこういうもの」というイメージが深く刻み込まれているようです。


新卒入社から数年間、仕事が大好きなベテラン組の教えだけを受けて育った若者たちは「他の会社に移っても同業他社なら同じでしょ」という意識も強く、外の世界に目を向けるよりも、とにかく目先の仕事を終わらせようという意識が感じられました。

また、彼らは転職経験もないため、おそらく『会社を辞める』ということが想像しづらいことも現状維持を選ぶ一因ではないかと思います。



対するベテラン組は会社運営に参加するポジションであるにもかかわらず、基本は何事も腰が重く、一部の声が大きいベテラン2〜3名の決定に任せっきり。

ベテラン組の大半は「与えられた仕事をしっかり仕上げていれば文句ないでしょ」という、悪い意味で職人気質なスタンスをとっています。



つまり、会社を動かす実権を握った2〜3名が決めた方針に対して、皆は疑問を抱かず、反抗せず、不満は言いつつも「決まったものは仕方ない」と従う流れが出来上がっているのです。


僕も何か良い変化を生めればと思ってちょこちょこ各所へ働きかけてみたものの、なかなかに力及ばず、弊社内に新しい風を吹かせるには至っていません。悔しい。

新卒組は『井の中の蛙』というか、いろんな世界を知る機会を逃し続けているのが本当に惜しい・・・


実権を握る『仕事大好きマン』

僕の直属の上司、かつ現プロジェクトのリーダーであるベテラン社員は、社内でも特に権力を持った人間のひとり。

彼は、絵に描いたような『仕事大好きマン』なのです。


◆深夜残業
  ⇒ 頑張ってる。えらい。
◆休日出勤
  ⇒ 良いモノ作るためなら当然。
◆有給休暇
  ⇒ 病気以外で休むとか考えられん。

という非常にわかりやすい考えを持っており、僕が有給を申請しようものなら

え? 休みたい?
それ本気で言ってる?
お前、ゲーム作るの楽しくないの?
俺は楽しくて仕方ないから、休むなんて考えられないけどなぁ?
ていうか、休んでまでやりたいことって何よ?

・・・まぁ労働者の権利だからいいけど、本当にいいの?
お前、俺を越えたくないの?
休んでもいいけど、お前が休んでる間に俺はもっと上に行くぞ?

といった少年マンガ風の名ゼリフを(有給申請するたびに)残します。


こうした考えを持った人間が会社の実権を握るとどうなるか・・・という話になるわけですが、お察しの通り、つまりはそういうことなのです。



ゲーム作りが楽しくて仕方ないのは、結構なことだと思います。

むしろ、そういう気概を持った人にこそゲーム業界を引っ張っていってほしい。


だが、逆に問いたい。

「仕事を休んでまでやりたいこと」が無いって、それで本当にいいんですかね?


我々ゲームプランナーという職業は、あえてゲーム開発を離れて、ゲーム以外のものから新鮮な刺激を取り入れ続けることも大切だと思うんです。

だから、僕は上司に嫌味を言われつつも有給めっちゃ使います。

ディズニーランドに行ったり、映画を見たり、フットサルをしたり・・・
いろんな経験から刺激と感動をチャージして、また開発現場でアウトプットに励むのです。

楽しい遊びを作る人こそ、思いっきり楽しく遊ばなきゃですよ!


入社間もない新人ですら、容赦なく背水の陣

弊社には人をイチから育てる余裕を持ったメンバーなんていないけど、人手が足りないので新しく人を採用します。

つまり、入社した直後から『ぶっつけ本番』という名のOJTが始まるのです。

OJTとは、職場の上司や先輩が、部下や後輩に対し具体的な仕事を与えて、その仕事を通して、仕事に必要な知識・技術・技能・態度などを意図的・計画的・継続的に指導し、修得させることによって全体的な業務処理能力や力量を育成する活動である。

(引用:Wikipedia『OJT』)

残念ながら、弊社に計画性など無い。


中途だろうが新卒だろうが、最初から大きなプロジェクトにぶっこまれて、ベテランたちと一緒に業務スタート。

もちろん最初は『お手伝い』程度の簡単な作業からスタートしますが、数週間もすれば、いつの間にか『中核メンバー』として膨大な量のタスクを処理することになります。



さらに、本来『中核メンバー』とは『プロジェクト内で特に重要な役割を担う数人のメンバー』であるはずですが、弊社では『プロジェクトメンバー全員が中核』というワケのわからない状態となっています。

つまり、全員が決死の覚悟で、獅子奮迅の働きをしなければ破綻するような状況なのです。

・・・まぁ、その時点ですでに破綻してるんですけどね


姿の見えない『良いもの』の呪縛

「この要素が入れば、もっと良くなるはず」

「時間が許す限り、より良いものを作ろう」


クリエイターとしてモノ作りに携わっていると、必ず聞くこの言葉。

「限界までクオリティを上げて、最高のコンテンツをお客さんに届けよう」という思いは、僕もクリエイターのはしくれとして非常に共感するところです。



ただ、僕はモノ作りをするとき、あえてこんな疑問を持ち続けるようにしています。

いま目指している『良いもの』は、本当に良いものなのか? と。


ベテランたちを含め、みんな『より良いもの』を求めて既存要素の改良や、機能の追加を行いながら開発をしていますが、それで本当に『良くなる』のかは疑問です。

むしろ、(僕も含めて)『良いもの』のビジョンがはっきりと見えている人のほうが少ないとさえ感じます。



たとえば、新規で追加する要素があったとします。

開発側の意図としては、『画面が寂しいから』とか『やりこみ要素を強化したいから』とかで機能追加を決断するわけですが、それは開発側のエゴになっていないかどうかを、よく考える必要があります。


我々の目指すべき『より良いもの』とは、多くの場合、『ユーザーに更なる感動を与えられたり、より快適に遊べるよう改良されたもの』を指します。



ですが、残念ながら『より良いもの』を作ろうとして『開発側が入れたいものをたくさん詰め込んだもの』が出来上がるケースも少なくありません。

しかも、それが『自分たちの目指していた理想形』だと錯覚したまま発売に至ることも少なくないのです。



それはただの自己満足であり、開発側のエゴであって、それを実現するために徹夜したり発売日を延期したりするのでは本末転倒です。

ユーザーはそんなもの望んでいません。

なんなら僕たち開発者も、そんなことのために貴重な時間を削ってまで残業したくないです。



こんなことを書くと、

明確な答えは見えなくても、「より良いもの」を目指し続けることを放棄するなんてクリエイター失格だ!

なんて言われそうな気もしますが、僕自身そういう精神論というか、やみくもな情熱的な感情も持ちあわせているつもりです。

でも、ゲーム会社として目指すべきは、納期(=クライアント)も労基(=社員)もしっかりと守った上で、ユーザーに最高の体験を創出するゲーム開発です。
それが難しいのは承知の上だけど、決して忘れちゃいけない。



また、僕たちゲームクリエイターは、ゲームが自己表現の場でもあります。
そこに自分の色を出すこと自体は、ダメだとは思いません。

むしろ意欲的に挑戦すればいいと思いますし、僕も自分の色をガッツリ出したキャラクターを登場させたことがあります。


しかし、仕様追加も、自分の色を出すことも、それによって『ゲームをより面白くできる』という判断のもとでのみ許された行為だと思っています。
自己表現を優先するあまり、ゲームの世界観やバランスを崩すことがないよう、注意が必要です。


自分たちが求められているものをしっかりと把握した上で、そこからブレない範囲で自分の色を出したりベストを尽くせるのが、本当に優秀なクリエイターだと思うんです。

いま担当しているプロジェクトでも、最後までその気持ちを忘れずにやり遂げたいと思います。

もちろん実現は難しいけど、目指すべき理想は高くいきたいっすね


まとめ

今回は僕の近況報告も兼ねて、ゲーム業界の話と言いつつも『ブラックな業界話を軽く笑い飛ばしてもらう、万人向けの記事』・・・にするつもりでしたが、最後のほうで妙にコアなところを熱く語ってしまった・・・。

この『ついつい書いちゃった文章』も、まさに開発者のエゴですねぇ。
ゲーム開発でこれが出ないよう、改めて気をつけねば・・・!

というわけで、忙殺されつつも何とか元気に過ごしていますので、今後とも僕と当ブログをよろしくお願いします!